挨拶


「…そういえば」
困ったように大和は眉を寄せた。真一はそれを小首を傾げて見つめる。
「どしたの?」
「…言ったっけ?」
「何を?」
「んー…」
大和は真一に合わせるように首を傾げ、唇を尖らせた。
「挨拶」
「…挨拶?」
「ん」
大和の言葉に、真一は苦笑した。
彼の言う言葉の意味がイマイチ理解できないからだ。
「何の挨拶?」
問う声に、大和は不満そうに膨れてみせた。真一が理解してくれないのが不満だと。
「何のって…決まってんだろ?」
ふぅ、と溜息をつくと、大和は改まった様子で、真一の真正面に立ち、にこりと笑んだ。
「あけましておめでとう」
そして、そう口にする。
「…あぁ、そうですね。あけましておめでとうございます」
そうして、彼の言葉をやっと理解して、真一は言葉を返した。

新年の「挨拶」

「去年から一緒にいたせいで、うっかり忘れてましたね」
のほほん、と真一は笑ったが、大和は小首を傾げる。
「真一、おめでとう以外に言う言葉は?」
「言葉?」
大和の求める言葉はいまいちわからないが、とりあえず思いついた言葉だけ放つ。
「…今年もよろしく…?」
「うん、よろしく。そいで、俺はね」
真一の返答は正解だと笑いながら、大和は悪戯な笑みを浮かべて、真一の首に腕を巻きつけた。

「今年も、愛して?」
くす…と笑い声を混ぜながら、大和は真一の耳元で囁いた。
一瞬の硬直の後、真一は大和の身体を強く抱き締めて、同じように囁いた

「…力いっぱい愛します」


[end]


真×大和で新作側に入れるのは初めてでしょうか。
遅ればせながら、あけましておめでとうございました。
今年もこんな感じです。